漂流ブイ
「母を尋ねて三千里!?」
みなさんはニホンウナギがどこで生まれ、シラスウナギとなって日本沿岸にくるとおもいますか?
実はニホンウナギは、下記の地図に示されるグアム島に近いマリアナ西方海域で産卵し、ふ化した幼生はフィリピン東部から黒潮に輸送され、その間に幼生はシラスウナギへ変態します。高い遊泳能力をつけた彼らは日本沿岸に近づくと、黒潮というゆりかごを降りて河川や汽水域(淡水と海水の混ざり合う水域)での新たな生活に再び旅立ちます。
このようにシラスウナギは日本沿岸で産まれるものではなく、産卵してから日本沿岸に到達するまでの4〜5ヶ月の旅に出発します。その移動距離は3,000kmにも達し、まさに「母を尋ねて三千キロ」を経て来ているという話。
以上はニホンウナギ研究の権威、東京大学海洋研究所木村教授が、発売当時のイリジウムシステム対応型漂流ブイの機能に期待して発注いただいた時に伺った興味ある話です。もっと不思議な、 ”どうやって親ウナギが産卵に行っているのか?” の質問については、 「そのためにこれから漂流ブイがたくさん必要なんですよ(笑)」
お話を伺った年の7月8日〜10日にかけて、産卵海域にイリジウムシステム対応型漂流ブイが3基投入されました。現在ではニホンウナギの卵も実際に海で採取され、産卵場を含め回遊ルートが明らかになってきました。
日本からはるか遠く離れたブイからのデータはほぼ1分で届きます。最新の衛星通信技術をいち早く海洋観測に採用し、それを支える安定した漂流ブイとして高い評価が得られるよう、この実績をさらに発展させていきたいと思います。